nyan先生の送別会
2023年03月10日
昨日は若松病院呼吸器内科の仲間が、私のために送別会を開いてくれました。場所は地元の人も行ききらんと言う、あの有名な隠れ家レストランのツネオです。17時45分に送迎車が2台病院玄関前に来て、いつものジェットコースターのような道を通って、ツネオに着きました。
運良くというか、昨日は事実上の貸し切り状態でした。明るいうちにツネオに行ったのは初めてだったので、外の日没の景色を眺めながら、みんなで楽しくコース料理をいただきました。コロナ時代になってから、本当に宴会・飲み会が激減してしまったので、毎日顔を合わせている仲間でも、「実は前から先生に聞いてみたいことがあったのですが・・」みたいな質問もありました。医局にいると、秘密の話や個人的な話があまり出来ないので、こういう機会が減ってしまうと、本当に知っているようで、知らないことが多いのもわかりました。
そしてデザートを食べ終わった後に、4人から私にプレゼントがありました。そのうち1つを是非開けてみて下さいと促されたので、開いてみるとビックリ!それは木製の感謝状でした。しかも私の似顔絵もあり、誰かそういうプロに依頼したようでした。感謝状には「32年間お仕事お疲れ様でした」と書かれてあり、本当に32年間だったかなと思い出してみると、確かに私が北九州に来て、産業医大で働き始めてから32年でした。そのうち後半の12年間が若松病院でした。ありきたりの感謝状や記念品ではなく、本当にオリジナルの木製感謝状には心から感激しました。そして32年前と言えば、北海道から何のツテもなく北九州にやってきたのに、それを快く受け入れてくれ、また育ててくれた全ての産業医大で出会った人々に心から感謝致します。このレストランへの道のりのように、ジェットコースターのような仕事人生でしたが、あと3週間で一旦終了します。4月からは自宅がある宗像市で働き始めますので、引き続き宜しく御願い致します。(前出の質問は「家がなぜ宗像に?」という内容でした。)
最後に若松病院呼吸器内科の現スタッフの4人(畑先生、鳥井先生、松永先生、山口先生)には、心のこもった贈り物、そして楽しい思い出をたくさんいただき、ありがとうございました。
左から山口先生、畑先生、鳥井先生、nyan、松永先生
旅はいいなぁ〜まったり朝倉の旅〜
2023年03月05日
トリは朝倉で生まれ育ったらしいです。トリに「鳥を見に朝倉に行って来た。」と報告したら、随分喜ばれました。そして「どうして鳥ですか?」と質問されました。
去年の4月10日に原鶴温泉(朝倉市)の「原鶴の舞」に泊まったことを書きました。この旅館は筑後川に面していて、部屋からバードウオッチングを楽しむことが出来ます。去年は4月だったせいか、鳥の数がそんなに多くなく、従業員の方からもっと寒い季節がいいですよとアドバイスをいただきました。とは言え、最も寒い時期は私の仕事が忙し過ぎるので、ギリギリ妥協で3月にしました。
今回は原鶴温泉に行く前に、同じ朝倉市内の秋月に立ち寄りました。小京都の1つとされる秋月は、春の桜、秋の紅葉、それらと秋月城跡が微妙にマッチしてとても美しいらしいです。ただ道路がとても狭いし、人混みが嫌いな私達はわざと人が少ない時期を選びました。秋月博物館では、秋月藩の歴史やジェンナーよりも早く種痘を始めた緒方春朔医師の話などを学び、古都の散策を楽しみました。
原鶴の舞では11か月ぶりに訪れた私達を、スタッフの皆さんが大歓迎してくれました。確かに鳥も去年より多く、バードウオッチングが趣味の同居人はずっと望遠鏡で部屋から鳥ばかり見ていました。もちろん食事も最高で短い時間ながらも、まったりと非日常を楽しむことが出来ました。
秋月の目鏡橋にて
筑後川の夕日
旅行
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ブログ凍結事件!
2023年03月03日
前のブログから随分と時間が経ってしまいました。実はブログ書きが遅れた上に、何と凍結までされてしまったのです。ここ3日間ほど愛読者の皆さんから、安否確認やら心配の声が上がっていました。
事の発端はクレジットカードです。1月の下旬にクレジットカードの支払い明細を確認したら、記憶にない所にドル建ての支払いが生じていました。名称も香港っぽい名前です。その支払先をググってみたら、「身に覚えのない所からクレジットカードの支払い請求」という内容がいくつかありました。私はクレジットカードが悪用されたのだと思い、そのカードを急いで解約してカードを作り直しました。そして当該支払い先へは、クレジットカード会社が返金の措置をとってくれました。面倒な手続きでしたが、これでひと安心と安堵していました。
2月28日のことです。3月生まれの私に、郷ひろみさんからバースデーカードが届いたので、ウキウキしてブログに書こうとしたら、何とnyanコラが消えていました。かなり焦りました。相前後してこのブログの母体であるFC2から、代金が入らないのでFC2のアカウントを凍結したとのメールが届きました。実はnyan'sコラムは広告が入らないようにと、有料サービスの方を利用しています。毎年自動的に代金が引き落とされて、あまり意識しないうちに更新されていました。改めて該当する日付のFC2からのメールを確認したら、メールの下の方に、代金はUN*・・・(WANCHAI)に請求されると書かれていました。そう、これがあの香港っぽい名前の支払い先だったのです。一気に謎が解けましたが、独り相撲というか、余分なエネルギーを使ってしまいました。
事の発端は私の勘違いですが、FC2からのメールもまた、重要な情報を最後の方に書いていたのが問題だったと思います。改めて「重要なことは最初の3行以内に書くべし!」と認識しました。いよいよ波瀾万丈の3月の幕開けです。どうなることやら郷ひろみさん!
(1週間遅れのアップ)郷ひろみ50周年コンサート
2023年02月19日
2月11日に、福岡国際センターで開催された郷ひろみデビュー50周年コンサートに行きました。あまりにも趣味に走った話なので、ブログにアップするのを躊躇しましたが、ブログ愛読者である病院管理課のAさんから、小動物のような優しい目で見つめられながら、アップして下さいと懇願されました。Aさんの願いなら・・・。
2月11日は西日本新聞が5万号を発行した日になります。この日まで145年かかったそうですが、そんなに歴史のある新聞とは知りませんでした。西日本新聞の社長さんがその記念にと、デビュー50周年で福岡県出身の郷ひろみに「西日本新聞紙齢5万号記念 特別公演」をお願いしたところ、快諾してくれたそうです。ただ50周年記念コンサートは、昨年東京の国技館で既に行われており、出身地の福岡県でだけ、同じコンサートを再現することになりました。
今回のコンサートは50周年記念のため、50曲を3時間で歌うというすごい内容でした。そして私はチケットの予約が遅れたので、座席が2階席になってしまいました。会場には何千人の人達がいたのでしょう?コンサートが始まるや否や、1階のアリーナ席の人達は、ほぼ全員がスタンディング、特に前方の人達は様々な色のペンライトを持ちながら、一緒に歌って踊っていました。スタンド席の2階、3階は全体が見渡せるので、スタンディングは少なかったですが、それでもずっと手拍子と歌で盛り上がっていました。私にとって、本物の歌手のコンサートは初めてです。前からコンサートとか、スポーツの応援などで、大勢のファンの中で踊ったり声を上げたりしたいという願望がありましたが、やっと半分叶ったようです。
そして今回何よりも感動したのは、郷ひろみ(67歳)の体力と若さ、そしてプロ意識の高さでした。このコンサートは3時間ぶっ通しで休憩はなく、息切れすることもなく、歌と踊りが続きました。休憩と言えば、数回あった数分間ずつのトーク、そして1曲だけ歌い終えた後に長いバンド演奏があり、その間に衣装を着替えただけでした。噂には聞いていましたが、マラソンのトップランナーのような体力・持久力に本当に驚きました。
50年前と言えば、私が中学3年生の頃です。当時の人気歌手は今ではほとんどが第一線を退き、懐メロ的に昔のヒット曲を歌う人が多い中で、郷ひろみは50年間、現役のままで突っ走っています。生涯現役を続けるのかわかりませんが、体力も歌唱力も衰えず、サービス精神満点のプロ意識にただただ感動しました。
私は「元気をもらう」という表現は好きではありませんが、伴走者になりたく、遅ればせながらファンクラブに入会しました。ファンクラブに入ると前方席が優先的に取れるようです。早速7月2日の北九州でのコンサートの先行予約に応募しました。次回はペンライトを用意して、間近で最初からスタンディングで応援するのを楽しみにしています。
第22回COPD・禁煙研究会
2023年02月11日
昨日は、北九州(メイン)と弘前(サブ)で第22回 COPD・禁煙研究会を開催しました。特別講演1の佐藤 晋先生(京都大学大学院 呼吸管理制御学 特定准教授)は、小倉まで来て下さり、私達と同じスタジオから御講演されました。また特別講演2の田坂定智先生(弘前大学大学院 呼吸器内科学 教授)は、弘前からオンラインでの御参加になりました。
特別講演1は産業医科大学 産業生態科学研究所 労働衛生工学 学内講師の西田千夏先生が担当しました。西田先生は3月末に私が退職後、医学部での教育を引き継いでくれる頼りになる後輩です。佐藤先生の御講演のテーマは「Living "well" を達成するために〜骨格筋機能障害・呼吸サルコペニアとは〜」というタイトルで、この分野の最前線の研究と情報を学ぶことが出来ました。COPD患者さんにおいては、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少症)が問題になります。呼吸サルコペニア評価のアルゴリズム、様々な評価法(握力、呼吸筋力、下肢筋力、最大鼻腔吸気圧、横隔膜筋厚、CTによる筋量測定など)、在宅呼吸リハビリなど多岐に渡る内容でした。評価法も一長一短あり、費用のかかるもの、保険適用のないもの、そして正常値(カットオフ値)がないなど、多くの問題もあり、今後の佐藤先生達の研究が期待される分野と感じました。
特別講演2は私が座長を担当し、田坂先生が「新型タバコと健康」について御講演されました。田坂先生は私が呼吸器学会の禁煙推進委員会のメンバーだった時に委員長を担当されており、精力的に新型タバコの情報を収集されていました。御講演では喫煙の総論、加熱式タバコと電子タバコの違い、新型タバコの血管系、気道や肺胞、アレルギーへの影響、新型コロナウイルス感染症との関連など、多岐にわたる内容でした。また最後には急性肺傷害の話にも力を入れられました。新型タバコが使用されるようになって、まだ数年程度ですが、従来の紙巻きタバコと健康被害は殆ど変わらないので、20-30年先に生じるCOPDの発症を防ぐためには、今すぐに新型タバコにストップをかけなければと強く思った御講演内容でした。
オンラインで視聴された参加者の皆さんも、とても勉強になったと思います。佐藤先生と田坂先生には濃い内容の2時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。
左手前から西田先生、佐藤先生、ベーリンガーの担当者(2名)、津田先生、nyan
講演終了後の情報交換
上段(左から)津田先生、nyan、西田先生、佐藤先生
下段は弘前の田坂先生
診察しない医者
2023年02月05日
いよいよ2月になり、退職まで2か月を切りました。外来の患者さんの8割以上に定年退職のことを告げ、挨拶と今後のことを話し合っています。基本的に今回の人事は5人にいる呼吸器内科のスタッフのうち、私だけが抜けて残る4人はそのまま勤務になります。なので私の外来の患者さんは、この4人のうちの誰かに引き継ぐ形になります。
今回は私の次の勤務先が、北九州の医療圏ではないので、一緒に異動(?)する人は地理的に合致する極少数の患者さんだけです。2011年に産業医大病院から若松病院に異動した時の経験から、医療圏が異なる患者さんは遅かれ早かれ、脱落というか、自宅近所の医療機関に変わってしまうことがわかっているからです。一方で4月から別の病院という人の相談に乗っていますが、前から気になっていた「患者が嫌う呼吸器内科医」のパターンというのも見えています。私が「○○病院(クリニック)なら近いのでどうですか?」と打診しても、「あの先生は××だから、行きたくない。」の××に相当する部分です。
(私の記憶によるワースト3)
第3位:相性が悪い。(人間である以上仕方がないですね。)
第2位:十分に説明をしてくれない。(そうでしょうね。)
第1位:聴診器を当ててくれない。(やっぱり!)
意外と思われるかも知れませんが、第1位の回答はこれまで耳にタコができるくらい聞いています。もちろん聴診器を当てない医者本人の耳には入らないでしょうから、気づいていないと思います。板前には包丁、呼吸器内科医には聴診器です。私の外来では聴診器を当てない患者さんは、3か月とか6か月に1回、胸部CTで気になる所見の経過観察だけをしている人です。それでも最初に聴診で異常がないことは確認しています。それ以外の患者さんは、当たり前ですが全員聴診します。特に喘息、COPD、間質性肺炎、気胸、痰が多い疾患では必須だと思います。ちなみに患者さん達は、聴診器を使わない呼吸器内科医のことを「診察しない医者」と呼んでいます。
このコラムを読んでいる同業の先生もいると思いますが、この機会に胸に手を当てて考えてみることをお勧めします。
リハ部ー動機づけ面接講習会
2023年01月28日
昨年9月19日のコラムに、禁煙外来再開から3か月の現状について書きました。その後ですが、内科外来の看護師を対象に禁煙治療の勉強会を開催し、動機づけ面接をちょっと紹介したところ、堀辺師長さんを始め、何人かの人がとても興味を持って下さいました。それからというもの、ズルズルと当院のリハ科スタッフや、他の医療機関の看護師、理学療法士、ケアマネさんを巻き込んで、小さな勉強会開催までこぎ着けました。
今日はその第1回目ということで、「動機づけ面接講習会〜基礎の基礎編〜」をオンラインで開催しました。私は講師の谷口治子先生(高木病院禁煙外来担当医)と今回のメンバーを引き合わせる役割だけをし、勉強会の責任者はリハ部の樺島技師長と中元副技師長にお任せしました。谷口先生が手配して下さったテキストを事前に購入し、また追加プリントもいただいて、万全の準備で第1回目を迎えました。
今日のところは、全くの初学者も参加しているので、動機づけ面接の基礎のレクチャーがあり、時々グループに分かれての演習もありました。初対面同士の参加者もいましたが、日頃の患者指導などで共通する悩みもあり、良い形で新しいネットワーク作りが出来て、とても良かったと思います。今回申し込みしていながら、スムーズにZoomに繋がらなかったメンバーもいましたが、技術的な問題を解決して、次回以降、参加していただけるのを楽しみにしています。谷口先生、皆様、ありがとうございました。
上段:左から谷口先生、nyan、樺島技師長、中元副技師長
下段:左から藤本看護師(熊本)、堀辺師長、坂元さん(ケアマネ、若松区)、柴田理学療法士(太宰府)
妹の職場
2023年01月21日
妹「海外旅行に出かけるからね〜!今の時期が安いんだ。」
ニャン「気をつけて楽しんで来てね〜」(いいなぁ)
妹「送ってもらったKF94マスクを、バッチリつけて行くよ!」
昨日旅好きの妹は、どこか遠い国へと遊びに行ってしまいました。時節柄身動きがとれない私には羨ましい話ですが、妹もエッセンシャルワーカーなので、世間の人々が一家団らんで楽しく過ごしている時期に、働いていることがよくあります。なので休める時には休んで、大いに旅を満喫してもらいたいと思っています。
妹の職場と言えば、危機管理の面で驚いたことがありました。2年程前にアルバイトの高校生が複数コロナに罹り、大騒ぎになりました。当時はPCR検査難民も多かった時期でしたが、会社側が素早く対応し、某病院の移動式PCR検査車を手配して、翌日か翌々日にはその店舗の社員全員がPCR検査を受けました。そして結果が判明するまで全員が自宅待機になりました。私は店舗も休みになるだろうと思っていましたが、他の店舗からヘルプ要員がたくさんやってきて、何事もなかったかのように、通常営業を続けたとのことでした。
さて病院の危機管理を考えると、感染症の拡大、医療事故、クレーム、自然災害などに関して、マニュアル化されているものと、経験の積み重ねで動くものとがあります。新型コロナについては、3年歳月を経て8つの波を経験し、マニュアル作成や蓄積されたノウハウが生かされているように思います。ただ突然の大地震や火災などの一大事が起こった場合に、指揮系統がうまく作動するのか、少なからぬ不安が残ります。危機管理で大切なことは、当事者や意思決定の関係者が常に冷静であることです。妹の会社は現在の従業員数16,944名、店舗数が192店舗で、コロナ陽性者発生に際して、100名程度の従業員がサッとやってきて隙間なく営業出来たのは、大企業とは言え、本当にすごいことだと思いました。コロナはやっと第8波がピークアウトしてきたところですが、私も常に平常心を保ちながら、もう少しの間、頑張っていこうと思います。
nyanコラ本(2022年版)が出来ました!
2023年01月12日
今年もいつものようにnyanコラ本(非売品)を作りました。2022年版になります。コロナの流行が始まってから、宴会や飲み会はないし、学会発表もハイブリッドが主流になったこともあり、みんなで一緒に写真を撮る機会が激減しました。そのせいでnyanコラの中身も随分と内向きになったことを、少し反省してします。
それでも外来の待ち時間に目を通してくれる患者さんや、貸し出しを希望する職員がいると、とても嬉しい気持ちになります。いつものように内科外来受付の目立つ場所に置きましたので、興味のある人は目を通していただければと思います。そしていつも素敵なコーナーを作って下さる受付の藤原さん、今年もありがとうございました!
写真:左から槌田さん、岩村さん、藤原さん、神田さん
今回のコロナは最悪かも
2023年01月10日
昨年末から続くコロナの第8波。感染制御部長としてずっと巻き込まれて、とても心穏やかではない年末年始とその後の3連休を過ごしました。実際、今現在は北九州市のコロナの確定病床稼働率が100%を越え、即応病床稼働率も90%を越えています。すなわちフェーズ5で県からの要請で準備しているコロナ病床をはるかに越え、そして隔離解除患者と入れ替えのようなタイミングでしか、入院出来ない状態が続いています。もちろん一般の救急患者の搬送困難事例も相次いでおり、医療崩壊の真っ只中にあるようです。どこまで落ちていくのか?たぶん第8波がピークアウトを迎えるまでは、全く目処がたたないと思います。
そんな最中に、同居人宛に、元部下から「久しぶりに遠方から○○君が北九州に来るので一緒に食事でもしましょう。」とメールが届きました。同居人は一瞬、困惑した顔をしましたが、私が一喝!「たわけ!このコロナのピークに普段一緒に過ごしていない人と食事をしたら、コロナに感染するじゃないか!同居人が罹ったら、私は濃厚接触者で5日休み、うつされたら10日休み!あんたの奥さんだって、ICUのナースだから許すはずがないぞ!」と大声で独り言を言ったら、同居人はやんわりと断りのお返事を書きました。荒れていますねぇ、私は。
それでも、1月8日にはちょっと良い本を買いました。「韓国のことばと絶景100」という地球の歩き方シリーズの本のようです。美しい写真の数々に魅せられて、心は韓国に飛んでしまいました。そして早速、ソウル行きの航空チケットを予約しました。行くのは3月ですが、それだけを楽しみにコロナ地獄を乗り越えて行きたいと思います。
雑感:2022年の終わりに
2022年12月31日
案の定、この12月はコロナ第8波に大きく巻き込まれ、長らくブログを更新することが出来ませんでした。ここ2年間のブログでも、波が来るたびに更新が遅れていますが、そうこうしているうちに、もう大晦日になってしまいました。
昨年末に「来年は飛行機に乗る」という低い目標を立てましたが、11月の学会出張で無事に達成することが出来ました。2023年の目標は「海外に行くこと」にしますが、自分の感覚では、当面は日本と同様にマスクを使い続けている韓国にしか行けません。(と、韓国旅行最優先の理由付け。韓国旅行は3年前の62回で止まったまま・・)
そして仕事はと言えば、若松病院での勤務もあと3か月を残すだけになり、外来では、患者さんに「ニャン先生外来店じまい」の御挨拶を少しずつしています。特に2011年の若松病院開院時に、産業医大病院から一緒に移ってくれた数10名の患者さんのうち、今でも通院中の患者さんは別れのショックがとても大きいです。もちろん私にとっても長らく御縁のあった患者さんとの別離は心がとても痛みます。外来以外でも、中途半端に残っている仕事を仕上げたり終了したりして、スムーズに次の人に引き継ごうと思います。
さて今年は私のライフスタイルが大きく変わった年になりました。何度か書きましたが、6月25日に日帰りバスツアーで、くじゅう方面に行きました。そのツアーが途中から豪雨に見舞われ、雨のツアーを楽しむどころか、つづら折りの山道で崖崩れや洪水の危険性に震え、災害に巻き込まれずに無事に帰ることだけを祈り続けました。しかし目的地の1つだった「くじゅう花公園」でいただいた花苗をきっかけに、家で花作りを始めることになりました。これまで庭仕事と言えば、草抜き、芝刈り、庭木の剪定ばかりで、これらは、見苦しくならないための、メインテナンス作業に過ぎませんでした。一方で花作りのようなガーデニングは、日々生長していく喜びがあります。暴風雨や猛暑などの悪条件で、枯れてしまう花もあれば、何度倒されても再び大空に向かって生長していく花もあり、人間の生き方にも通じる部分もあります。そして生命力の強い花は、あの時から半年も花を咲かせ続けています。秋になって、一部は秋〜冬の花に植え替えましたが、近所の花好きの人からも色々と教わって、会話が弾むようになりました。近所を散歩しても、それぞれの家の庭の様子が気になり、見える世界がガラッと変わってしまいました。近年、非結核性抗酸菌症の患者さんが急増していますが、原因のひとつに、環境の土壌の中にいる菌を吸い込むことが挙げられています。ガーデニングはそのリスクの1つで、土をいじる作業は他の家族にしてもらい、患者さんは水やりだけにするよう指導したところ、画像が改善した軽症例もありました。そんな時に患者さんとは、具体的にどんな作業をしているのか、詳細まで興味を持って聞くようになりました。
最後になりましたが、若松病院呼吸器内科は今年度も5人体制で、途中スタッフのコロナ感染や濃厚接触なども経験しましたが、連絡体制やチームワークの良さで乗り越えました。職場の働きやすさは、9割以上が人間関係に因るものと思います。私以外のスタッフは、30代の男性ばかりですが、私の役割は彼らに快適でストレスが少ない環境を提供することです。今年は総合内科専門医試験に受験者全員が合格し、また別のスタッフは他学会の専門医受験のために必要な論文を書き上げて掲載されました。ひとつひとつの勉強と経験の積み重ねが、患者さんの幸福に繋がります。30代は心身共にパワーあふれる時期なので、来年も仲良くステップアップを目指して欲しいと思います。
今日は穏やかな天候の大晦日です。読者の皆さんも良い年を迎えられるよう願っております。
禁煙成功の喜び
2022年12月18日
12月に入り、第2週から急にコロナ陽性者が増え、またコロナ以外でも緊急入院が増えてきました。私の心理状況はコロナの波とミラーイメージで連動しているようで、下向きが続いています。ただ立場上は下向きなどと言ってられないので、良かったことや楽しいことを考え続けています。
最近うれしかったことと言えば、9月19日のコラムに書いた無関心期で禁煙外来を受診させられた患者さんが、見事に禁煙に成功し、さらに「タバコの臭いが臭くて嫌いになった」「自分はこんな臭いをさせて人に迷惑をかけていたのか」「自宅がまだタバコ臭い」と言っていることです。一般的に禁煙に対して無関心期と言えども、全く関心がないのではなく、心の中では「変わりたい」「変わりたくない」が綱引き状態で拮抗していることが多く、これは両価性と呼ばれます。「変わりたくない」時のセリフは維持トークと呼ばれ、「タバコを吸っても長生きする人がいる」とか「ストレス解消にタバコが必要」など、変わりたくない理由を列挙します。この患者さんの場合、外来での禁煙指導がうまくいき、「変わりたい」側のチェンジトークがたくさん出るようになりました。そして私の経験上、タバコの臭いを悪臭に感じるようなり、これまで周囲の非喫煙者に迷惑をかけてしまったと感じる人は、まず再喫煙することはありません。先日はその患者さんの禁煙外来最終日で、私も外来看護師も大喜びで賞賛しました。もちろん本人もキツネにつままれたような気持ちはあるものの、禁煙に成功して大喜びでした。
私は禁煙外来を20年以上続けていますが、禁煙に成功して患者さんの顔色が良くなり、そして歓喜の時間を共にするのは、最高に幸せな気持ちになります。今回は患者さんが禁煙成功を記念して、手造りの来年の干支にちなんだ置物を外来にプレゼントして下さいました。私もこれからは外来前に必ずこの兎を見て、禁煙指導・外来診療に頑張りたいと思います。
自分の世界が狭いと感じた時:「第9」コンサート
2022年12月04日
今日は生まれて初めて、「第9」のコンサートを聴きに行きました。きっかけは隣の奥さんが「第9」合唱団のメンバーで、コロナのため3年ぶりの開催と言いながら、隣近所に1000円の前売券を宣伝して歩いていたからです。コロナ前は何かと日程が合わず参加出来ませんでしたが、今日は会場の宗像ユリックスまで30分、散歩がてら歩いて行きました。会場に着くと、まだコロナ禍だというのに、イベントホールの1階座席にはぎっしりと人が詰まり、1000人位は来ていたようでした。
第1部は沖ノ島の世界文化遺産登録記念テーマ曲で合唱もあり、45分間の長い演奏でした。そして15分間の休憩後に1時間以上にわたりベートーベンの交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」の演奏がありました。私は隣の奥さんの合唱を聴きに来たはずなのに、50分以上ずっと長い管弦楽の演奏を聴き、どうしてこんなに長いのかと思いつつ、ティンパニの女性の手の動きばかり見ていました。そしてトライアングル担当の人が長〜い曲の中で、数回、チン・チンと音を出したのを見て、お!これなら私にも出来そうだと思ったりしました。そしてこの宗像フィルハーモニー管弦楽団の人達は、3年間どうやって生計を立てていたのだろうと、いらぬ心配までしましたが、帰宅してから調べたら、アマチュア楽団でちゃんと他に仕事を持っている人達でした。それにしても趣味の延長のオーケストラとは思えないほど素晴らしい演奏で、素人の私にはプロとアマの違いがわかりませんでした。そして私が「第9」合唱団のメンバーなら、自分の出番まで50分間、壇上で待つのは、痺れを切らすか、倒れるかしそうだと、これまたいらぬ心配をしました。
そもそも日本では「第9」、特に最後の「歓喜の歌」の合唱が、なぜ12月に行われるのか、これも後から調べましたが、諸説あるようでわかりませんでした。クラシックも第9もオーケストラのことも何も知らずに、隣の奥さんが歌っている姿を見に来たのですが、運悪く大男の後ろに隠れてほとんど見えませんでした。それでも演奏と合唱には心の底から感動しました。そして本当に自分が住んでいる世界は狭くて、まだまだ知りたい世界が拡がっていることを実感した1日でした。
今年3回目のくじゅう旅行
2022年11月27日
旅好きの人間は、大好きになれば同じ場所に何度も行きたくなるものです。この週末は今年3回目のくじゅう旅行に出かけました。今回の目的は、10月1-2日の旅行で駐車場が混みすぎて行けなかった長者原ビジターセンターに行くこと、そして初めてオーベルジュに泊まることです。
今年は12月1日からいきなり冬になるという天気予報があり、これが屋外を楽しめる今年最後の週末かも知れません。予定通り11月26日は、まず長者原ビジターセンターに行きました。ここでくじゅう連山の情報を集めた後、1時間半ほどタデ原湿原を歩きました。ここは遊歩道が完備されており、くじゅう連山の壮大な背景と湿原のコントラストを楽しみました。
その後は瀬の本高原にあるオーベルジュ・ア・マ・ファソンへと向かいました。オーベルジュはホテルではなく、レストランに宿泊施設が付いているものです。ただ宿泊施設は、経営者のポリシーを反映して、レベルがピンキリで、旅好きのnyan先生は、そのエリアではピンのオーベルジュを選択しました。オーベルジュは美食を楽しむところ、本当に最高の夕食と朝食をいただきました。そしてレストランからは遠くに阿蘇五岳が美しく見えました。もう感動!の一言に尽きます。
そして今日は今年3回目の「くじゅう花公園」に行きました。ここは12月から2月までは冬季休業になるので、咲いている花は限られていましたが、秋の花を中心に見事にアレンジされたお花畑に、またしても感動!春になったら、また来ようと心に誓ったのでした。
後方に長者原ビジターセンター
くじゅう連山とタデ原湿原
オーベルジュから見えた阿蘇五岳
くじゅう花公園にて(マリーゴールドが満開)
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第32回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会
2022年11月13日
11月11日と12日の2日間、千葉県の幕張メッセで開催されたケアリハ学会に参加しました。昨年12月30日のブログに、来年の目標は「飛行機に乗ること!」と書きましたが、これでちゃんと目標を果たすことが出来ました。
さて私は多くの学会に30年以上前から会員になっていますが、この学会は珍しく10年位前に入会した学会で、その後代議員や禁煙推進委員会のメンバーになってから、頻繁に参加するようになりました。今回は12日C会場の最後のプログラム「ワークショップ5:多職種連携による禁煙指導ー多職種による禁煙指導マニュアル作成に向けて」で、石川県立中央病院の西 耕一先生と一緒に司会を担当しました。
ケアリハ学会の様々なシンポジウムやワークショップのキーワードの1つが、多職種連携です。この学会の会員は理学療法士や看護師が多く、医師は少数派ということもあり、必然的に職種の枠を越えた患者サポートという考え方が重要になっています。禁煙推進委員会では、1年後を目標に多職種による禁煙指導マニュアルを作成する予定になっており、本ワークショップはその目的に向かって、医師2名、看護師1名、理学療法士1名から禁煙指導やマニュアル作成に向けてのアイデアが発表されました。その中で面白かったのが、「人は異なる3人から別々に同じ噂を聞くと、噂を信じる確率が高くなる」という話です。この考えは奇しくも複数の演者から発表があり、ある意味、多職種連携の中核をなす概念ではないかと感じました。私自身も、医師と看護師から禁煙を指導されても動かず、リハビリ中に理学療法士から禁煙を勧められて、それが最後の一押しになって禁煙外来を受診した患者さんを経験しています。まさに多職種連携を実感したわけですが、そのためには全ての医療者がブレることのない、禁煙指導の基本的な知識を身につけておく必要があります。そういう意味で指導法を統一したマニュアルが必要になります。今回のワークショップでの議論を踏まえ、さらに委員会で完成度を高めていきたいと思います。
また今回の学会でも、展示会場の日本呼吸器障害者情報センター(J-BREATH)のブースに足繁く通いました。前のブログに書いた「息いきお散歩ラリー」ですが、理事長の遠山さんによると、参加者の歩数が予想以上に多くて、日本1周どころか2周しそうな勢いとのことでした。まだラリーは開催中ですが、今の時点でも大成功と感じる勢いで、私もとてもうれしい気持ちになりました。同じような企画があれば、これからも積極的に参加したいと思います。
ケアリハ学会は2日間の日程でしたが、11月18日から12月8日まではオンデマンド配信があります。そして来年の開催地は仙台とのことで、またひとつ楽しみが出来ました。
J-BREATHのブースにて(右端が遠山理事長)
11月11日には日本を4分の3周!
学会
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息いきお散歩ラリー
2022年11月06日
何度かこのブログに書いていますが、私は日本呼吸器障害者情報センター(J-BREATH)のサポーターで、今はアドバイザリーコミティーのメンバーになっています。本団体は主にHOTの患者さんを中心に、様々な呼吸器疾患患者さんに役に立つ情報を提供し、またロビー活動も活発に行っています。そして今は恒例行事になりましたが、年1回、LUNG WALK (ラング・ウオーク)という呼吸器疾患の啓発と禁煙の呼びかけなどの啓発目的のウオーキングイベントを実施しています。2008年から続く歴史あるイベントですが、東京都内で行われるため、地方居住者には参加が難しいという問題もありました。ところが今年から、ラング・ウオークの開催日から1か月にわたり、ウオーキング・アプリを使い、全国どこからでも参加できる「息いきお散歩ラリー」という新イベントが始まりました。私も早速登録しましたが、毎日アプリを確認すると、その時点でのランキングが出て来ます。今回は参加者が173名で9グループに分かれています。グループは製薬会社や酸素業者がメインですが、私が所属する「医療関係者」グループは2名だけなので、歩数合計だとグループ順位が下位になってしまいます。
これは競争ではなくて、参加者全員が期間内に歩いた歩数を合算して、日本一周を目指すものですが、誰でもわかる「ニャン先生」という名前で登録してしまったので、ちょっとばかり、上位に食い込もうという欲が出て来ました。あと3週間半、無理のない範囲で楽しく歩数を重ねたいと思います。
第27回 北九州呼吸ケア研究会
2022年10月29日
慌ただしい1日でした。今日と明日は完全WEB形式での禁煙学会が開催されており、午前中は「繁田正子賞セッション」に、審査委員として自宅から参加しました。終わるやいなやバタバタと「サッポロ一番みそラーメン」を食べ、小倉へと向かいました。
小倉には市の公務で月1回夜に行っていますが、青空の下、久しぶりの街歩きを楽しみながら、TKP小倉シティセンターへと向かいました。そこで第27回北九州呼吸ケア研究会がハイブリッド形式で開催されました。去年もこの研究会と禁煙学会とが重なったのですが、去年は禁煙学会(大分)の方に現地参加したので、こっちには参加出来ませんでした。今回は一般演題で若松病院リハビリテーション部 副技師長の中元洋子さんが「HOT導入後患者様の1年後の状況」について発表しました。何ヶ月か前に発表の打診があったとかで、中元さんがすごい勢いでカルテをチェックして、あっと言う間にデータをまとめ上げました。いつもパワフルな行動力には驚かされます。HOTを導入された患者さんの導入前と導入1年後の比較を、COPDと間質性肺炎に分けての検討でしたが、疾患の特徴を反映した結果になりました。私達はHOTを導入することによって、血中の酸素濃度が上がるので、導入前と比べて、外出や運動の幅が拡がるとポジティブな説明を患者さん達にしています。しかし今回の検討で、特に間質性肺炎の患者さんにおいては、1年後の酸素投与量は増える一方で、運動量が減っているという現実を目の当たりにすることになりました。
他にも在宅ハイフローセラピーの症例呈示、呼吸リハビリテーションのすすめ、病院と地域における多職種連携の講演が続き、全てが勉強になりました。リハビリテーションというと、どうしても整形外科の術後や脳卒中後がメインになり、全国的にも呼吸リハビリが実施出来る施設はまだ少ないようです。幸い当院では中元さん達のおかげで、当たり前のように呼吸リハビリが行われています。これからも、もっと多くの患者さん達が恩恵を受けることが出来るよう、努力しなければと思った2時間でした。
写真:当院リハ部の中元洋子さんの発表(手前は矢寺教授)
何かが物足りない・・・
2022年10月15日
10月14日と15日の2日間、「第89回日本呼吸器学会・日本結核 非結核性抗酸菌症学会・日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会」が、完全なWEB形式で開催されました。この2日間はライブ配信で、10月19日から11月1日まではオンデマンド配信の予定になっています。
私は14日の11:15から11:47まで一般演題4「非結核性抗酸菌症」の座長を担当したので、10:30から12:00まで外来を中断して、2階の会議室2に立てこもりました。今回は一般演題も2人座長制だったので、相方の大牟田病院呼吸器内科 若松謙太郎先生と打ち合わせをし、前半2演題は若松先生担当、後半2演題は私が担当としました。そこまでは良かったのですが、いざ発表が始まると4人の発表のうち、1番目の演者の質疑応答から接続が悪くなり、2番目の発表では音声が途切れがちになり、さらに質疑応答が出来なくなってしまいました。この2番目の演題は、肺MAC症に家族性地中海熱を合併した症例で、症例報告部門の育成賞を受賞されていた素晴らしい内容だったので、演者の先生にはとても気の毒でした。そしてその後の後半の2つの発表はまた問題なく繋がり、おおむね時間通りに終えることができました。私自身も1番目の発表の質疑応答の所で、zoomがプツンと切れて、なすすべもなく再接続を待っていたら、また繋がって2番目の発表が既に行われていました。久しぶりにハラハラしましたが、このトラブルがオンデマンドでどういう風に見えるようになるのか、気になるところです。
私は主催側も座長も演者も全てが完全WEBの学会への参加は、今回が初めてのような気がします。接続のトラブルはあったものの、プログラム自体はとても充実した内容で、無事に終えたのではないかと想像しています。(オンデマンドがあるので、この2日間で3つのセッションだけリアルで見ました。)時代の流れでもあり、また大会長の意向でもある訳ですが、何かが物足りない感じがしました。それは何だろうと考えていて、ふと良い言葉を思いつきました。それは「一体感」です。学会は、私の感覚ではお祭りみたいなもので、発表にせよ座長にせよ、それに向けてグイッと精神を集中して準備をし、終わった後の達成感や安堵感はまた格別のものです。そしてそれに伴う学会員・参加者の「一体感」、それが宙をフワフワと舞っているような完全WEB開催では感じることが出来ないのです。別の表現で言えば、思い出に残らないとも言えます。ひょっとして、この感覚は私だけのものかも知れません。ただ3年近く続くコロナ禍の中での学会開催は、どんな形であれ、大会長(佐賀大学 荒金尚子先生)や実行委員会は大変なご苦労をされたと思います。WEB開催をやり遂げたことに、心から感謝致します。
今月の下旬には、また完全WEBの学会があります。私にもまた出番があるのですが、どんな感じになるのか、トラブルなく行われることを願うばかりです。
写真:会議室2のドアに貼った紙
学会
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2泊3日甑島の旅
2022年10月10日
10月8日から10日まで、ちょっと遅い夏休みで鹿児島県薩摩川内市の甑島に行きました。甑島列島は上甑島、中甑島、下甑島の3島から成り、近年3つの島全てが橋で連結され陸路で往来出来るようになりました。特に中甑島と下甑島を繋ぐ甑大橋は2020年8月に開通し、全長1,533mの鹿児島県で最も長い橋とのことです。
福岡発のツアーは3日間で3つの島をくまなく観光しました。甑島特有の地理や絶景の数々(特に橋や断崖絶壁)、武家屋敷・郷土館等の観光、クルージング、豪華な郷土料理を楽しんだ毎日でした。また日替わりの3人の地元ガイドによる話はレベルが高くて、歴史や島民の本音を知る意味でとても有意義でした。初日にクルージングがあり、甑島の観光シンボルでもある「ナポレオン岩」まで行く予定でしたが、海が荒れているとのことで、荒天時の東側コースを回りました。その代わりナポレオン岩は2日目に陸から見ることが出来ました。ナポレオン岩だけではなく、それ以外にも断崖絶壁が続く景色、そして甑列島の西側(東シナ海)と東側では海の天候が全く違うのに驚きました。また島の多くの集落は過疎化が進んでおり、廃校になった小中学校をいくつか目の当たりにしました。一方で甑大橋の開通や島旅ブームで、観光に活路を見いだす島民のパワーも感じられた3日間でした。絶景とグルメが目的の人には、是非お勧めの島です!
写真1:田之尻展望所より長目の浜を望む。
写真2:クルーズ船より甑大橋を望む。(同居人の後ろ姿)
*近頃読者の方より、旅行のブログに人があまり写っていない、誰と行ったのですかと?いぶかる声あり。リクエストに応えました!(怪しい男ではありません)
写真3:前の平展望所から見るナポレオン岩
写真4:夜萩円山公園から見える鹿島断崖を望む。
写真5(参考):日程別の観光先(クラブツーリズムによる)
旅行
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敗者復活戦(?)の旅
2022年10月02日
6月のある日、博多駅で偶然「特急:ゆふいんの森」を見かけました。その時、衝動的にこれに乗って湯布院に行きたいと思い立ち、すぐに7月23−24日でホテルと列車の予約を取りました。しかし7月下旬から突然、コロナの陽性者が増えたため、泣く泣く2か月延期して9月23−24日でホテルを再予約したのですが、これもまた別の理由で中止になってしまいました。その日が晴天に恵まれたこともあり、とても残念でしたが、ここで引き下がる訳にいかず、天気図をじっと眺めて、10月1−2日でホテルを再々予約しました。ところが肝心の「ゆふいんの森」が台風の影響で全面運休とのことで、急遽、車で行くことになりました。
10月1日は自宅を出て、若宮インターから高速に乗り、湯布院インターで降りて約2時間半でホテルに着きました。湯布院の市街地からやや外れた森の中にあるホテルの客室には、今まで経験のない広さの内風呂があり、リラックスした時間を過ごしました。その勢いで、せっかくここまで車で来たので、6月25日に大雨のため楽しむことが出来なかった「くじゅう花公園」にも足を伸ばそうと思い立ちました。
今日は10時前にホテルを出ましたが、素晴らしい晴天の下、憧れのやまなみハイウェイのドライブを楽しみながら、1時間でくじゅう花公園に着きました。6月の時には大雨で全く見えなかったくじゅう連山も背後によく見えて、見渡す限りの花の中の散策を楽しみました。帰りは高速を使わずに、黒川温泉、小国町、日田市、東峰村などを経由して、3時間半かけて帰りましたが、このルートもまた楽しいドライブでした。去年から大分県をよく旅行していますが、しばらくは「くじゅう愛」が続きそうな予感がした小旅行でした。
写真1:湯布院の湯の坪街道にて(後ろに由布岳)
写真2:くじゅう花公園にて(後ろにくじゅう連山)
旅行
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郷ひろみと私
2022年09月24日
今日は若松病院の診療科案内にリンクしているこのブログに、ちょっとふさわしくないタイトルの記事を書きます。昨日何気なくテレビを見たら、郷ひろみが出ていて、相変わらず歌って踊っていました。彼はもうすぐ67歳です。いつまでも現役で、タバコを吸わず、体を動かしている人は、本当に元気で健康そうです。郷ひろみと言えば、単にかつてのファンだっただけではなく、特殊な思い出があります。
私は大学卒業後の3年間、札幌医科大学第3内科(=呼吸器内科)に所属しましたが、呼吸器内科を専門にした理由は、当時の鈴木明教授を心から尊敬していたからでした。私にとっては本当に臨床家の鑑のような大先生でした。その後卒後4年目に私は北九州に来て産業医科大学に所属しました。当時はもっと鈴木明教授の指導を受けたかったという思いもありましたが、事もあろうに、鈴木先生は私が北九州に移った8か月後に体調を崩され、定年を待たずに退職されてしまいました。その後、先生は東京に移られ、とある超一流ホテル内のクリニックで外来を担当されていました。
卒後4年目で産業医大に来た私は、6年目までは専修医という身分でした。ある日のこと、突然、東京の鈴木先生から電話がかかってきました。そしてその用件が驚くべき内容でした。「あ、吉井さん元気?○○ホテルの当クリニックの顧客である郷ひろみ君が、北九州でコンサートするんだけど、喉を痛めて声が出なくなっちゃったんだ。何とかしてくれる?」ひょえぇぇぇ!コンサート前に声が出なくなった大物歌手の声を出せと?詳しく話を聞くと、コンサート会場は小倉の北九州厚生年金会館(現:北九州ソレイユホール)とのこと。まずはその日のスケジュールから、地理的に遠い八幡西区の産業医大病院での診療は現実的でないし、一生懸命考えて、北九州市立医療センターにお願いすることにしました。しかし北九州に来て日が浅い私はあまり人脈もなく、学会や研究会で1, 2度お話ししたことのある当時の呼吸器科部長の西尾鉄男先生に、ダメ元で電話をかけてみました。一介の「専修医」の私が、市立病院の部長先生にです。今思うと本当に勇気があったと思います。それにも関わらず、私の怪しい電話に西尾先生は親切に対応して下さり、診察または待機を快諾して下さいました。その情報を鈴木先生に報告したところ、鈴木先生から郷ひろみサイドに伝達され、診療の道筋が出来ました。そして結論はと言うと、コンサートの直前には何とか声が出るようになったとのことで、その日は西尾先生と医療センターの耳鼻科部長の先生が「待機」をされたとのことでした。
本当に後から考えると赤面ものの話です。今の自分の立場で、1, 2回しか会ったことのない他院の専修医から、とんでもない依頼電話が来たら、西尾先生のような心の広い対応が出来るだろうかと思います。その後は、西尾先生にお会いする度に「郷ひろみの時はお世話になりました。」と何度も頭を下げました。あれから市立医療センターの呼吸器科も代替わりして、今現在、西尾先生がどうされているのかわかりません。ただ一生懸命に何かを訴えて来る人に対して真摯に対応する姿勢は、本当に素晴らしく、今でもテレビで郷ひろみの活躍を見るにつけ、あの時の記憶が蘇ります。
後日談:このエピソードを札幌医大第3内科の先輩に話したところ、「鈴木先生もひどいなぁ。そもそも歌う直前に声を出す治療ってあるの?」・・まさにその通りでした。
禁煙外来再開から3か月
2022年09月19日

台風14号に翻弄された3連休でしたが、いかがお過ごしでしたか?今回はスッポリはまってしまいました。ただ最接近した時間帯は台風の目に入り、しかも台風自体が970hPaまで弱っていたので、今回も事なきを得ました。皆さんにも被害が出ていないことを願っています。
さて昨年夏から禁煙補助薬・チャンピックスの出荷停止状態が、まだ続いています。当科ではもう1つの禁煙補助薬であるニコチネルTTSの流通がある程度確保された今年6月から禁煙外来を再開しました。とは言え、これまでの禁煙外来では8割以上がチャンピックスを処方していたため、ニコチネルTTSに慣れていない人が多いこと、そして約1年間ブランクで医師も看護師も人事異動があったり、細かなことを忘れてしまった人もおり、治療する側がちょっとした問題を抱えてしまいました。当たり前のことですが、禁煙外来を受診する患者さんが100%禁煙に対して前向きとは限りません。
喫煙者の禁煙に対する準備性から、まず「変容ステージ」を評価します。具体的には、無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期の5段階に分かれます。普通、自らの意思で禁煙外来を受診される患者さんは「準備期」(1か月以内に禁煙しようと考えている)に相当するケースが多いのですが、他人(家族や医療従事者)の勧めで受診した人の中には、「関心期」(6か月以内に禁煙しようと考えている)や「無関心期」(禁煙する気はない)のケースも混じっています。こうした「関心期」「無関心期」の患者さんに対して、マニュアル通りに「禁煙宣言書」への署名をお願いすると、拒否感が強くなり、本来の準備性からさらに離れてしまう場合もあります。
先日の患者さんもそうでした。元々禁煙する気はなかったのですが、入院・手術を控えているので、入院すれば嫌でも病院のルールで喫煙出来なくなるので、それがタイミングと考えていました。なので「あらかじめ」の禁煙外来受診は、本人にとって不本意なものでした。ただその患者さんとの会話の中で、私が100%同意するフレーズがありました。それは「人から強制されてやるものではない。強制されるのなら絶対にしない。自分で決めてやるものだ。」ということです。そこで私としては、手術に向けての準備(合併症の軽減)としての禁煙の必要性について、医学的な事実だけを説明したところ、患者さんもよく理解されて、その日ではなく、若干の遅れはあるものの、新たな禁煙開始日を自ら設定されました。
禁煙に限らず、仕事や社会活動も全く同じことが言えると思います。私は基本的に仕事が好きですが、「働く仕事」は喜んでする一方で、「働かされる仕事」は納得しない限り動きません。絶対にしないこともあります。次回この患者さんと会う時に、どんな会話が出来るか、自分自身でどのように考えたのか、楽しみにしているところです。そして今一度、スタッフと禁煙指導・治療の情報共有が必要と痛感した出来事でした。
台風がかすめて行った!
2022年09月06日
九州に移住してから31年半になるのに、相変わらず私は台風が大の苦手です。まあ怖くない人はいないと思いますが、3日前(土曜日)からスマホでしょっちゅう台風の位置を確認していて、自分でも異常じゃないかと思っています。既に3日前には若松病院近くのルートインホテルを予約しました。2日前(日曜日)にはガラス窓の養生テープ貼りを終え、前々回のブログに書いた鉢植えの花を居間に入れました。ネコらは興味津々です。昨日の夕方にはカンファを終えるとすぐにルートインに移動しました。まだコロナの陽性者数が多いので、チェックイン後はカップ麺の焼きそばを食べながらテレビを見て、部屋でシャワーを浴びて早々と寝ました。そして今朝もホテルでは朝食を食べずに、さっさと病院に出勤しました。台風の位置を確認すると、暴風域の縁が北部九州をかすめて行ったようです。
無事に台風をやり過ごした、たいしたことのない日常ですが、こうして台風・積雪・飲み会の度にお世話になったルートインホテルとも、あと半年でお別れかと思うと、ちょっと感傷的な気分になりました。これを書いている時間もまだ台風が通過中です。韓国の友達も含め、被害がないことを願うばかりです。
写真1:室内に入れた花と興味津々のネコ達
写真2:ルートインホテルから見えた若戸大橋の夜景
写真3:台風最接近(9月6日午前6時)
三輪看護部長、お世話になりました!
2022年08月31日
2020年4月1日から一緒に働いていた三輪ゆかり看護部長が、急遽、9月1日付けで産業医大病院に異動することになりました。人事異動は年度の変わり目にあるのですが、今回は建設中の急性期診療棟と看護師の働き方改革という2つの重要かつ特殊な役割を担う特命を受けての異動だそうです。
忘れもしない2020年4月1日、今となっては懐かしい「帰国者・接触者外来」の運用で苦労していた時期に、産業医大病院よりも早く、コロナの第1号患者さんを入院で受け入れることになりました。当時はコロナウイルスについてわからないことばかり、未知への恐怖がある中で、看護部は三輪部長のリーダーシップの下、様々なアイデアを出し合ってコロナ患者の看護に当たりました。私は同時に、感染制御部の仕事にほとんどシフトし、三輪部長はじめ青木副部長や各部署の師長さん達と連携を取りながら、仕事を進めていきました。これまで歴代の看護部長さんと仕事をしましたが、三輪部長とはコロナ禍にあって、最も強い信頼と友情で、一緒に困難を乗り越えてきました。今は本当に感謝の言葉しかありません。
三輪さんは頭脳明晰な上に、とてつもなく明るいオーラを発する人なので、これから産業医大病院でも大いにそのパワーを発揮することでしょう。別れは辛いですが、居場所が違っても、産業医大のために頑張って行きましょう!ありがとうございました。
写真:三輪看護部長とその愉快な仲間達(前列左から2番目が三輪さん)
この2−3週間は何だったのだろう?
2022年08月27日
ここ2−3週間、何だか心身ともに疲れ果てていました。夜に開催されるオンラインでの研究会や講演会は殆ど参加しなかったし、家に帰ってからも夜10時に寝落ちすることが度々ありました。そして何よりも鬱っぽいというか、前向きで積極的な気持ちになれない日々が続きました。ところが今日突然!私は元に戻りました。よく考えると話は単純で、今日の最高気温が29℃だったからかも知れません。北海道の人間は気温が30℃を越えたら、だらけても良いという不文律があり、何年経っても体がそれを覚えていたようです。
それでも、その間にちょっと新しい事に挑戦していました。それは花作りです。私は小学校時代の夏休みの宿題で「朝顔の観察」をした程度しか経験がありません。実は大雨が降った6月25日に日帰りツアーで「くじゅう花公園」に行きました。そのツアーは体験型ツアーで、花公園に行く前にそこに供給する花苗を作っている生産基地を見学し、小さな花苗をピンセットで鉢に植え替える作業をしました。その時に植え替えした花苗と数個の既に開花している鉢をお土産にもらって、自宅で育てることになったのです。残念ながら今年の猛暑でいくつかは枯れてしまいましたが、体力というか底力のある花は立派に生き延びています。暴風で何度も倒れた花がありましたが、そこからまた自力で立ち直る姿には、ちょっとした感動を覚えました。どの花も一年草なので、秋には終わってしまいますが、せっかくなので新しい楽しみとして続けていこうかと思っているところです。
悪いことも記録として残しておこう・・・。
2022年08月14日
世の中には、8月(真夏)が大好きな人達がいます。私が8月が苦手なのは、過去に書きましたが、もっと具体的な数値で表すと、高校時代に真面目に受けた模擬試験(数学:150点満点)で、夏が6点、冬は146点でした。その間に一生懸命勉強したのだろうという人もいますが、そうではありません。昔も今も、私は冬になると頭も体調も良くなるのです。ただ過去の8月のブログを見ると、海外旅行が出来た頃はそれなりに楽しんでいましたが、この3年はコロナの波のせいで、突破口が見えない日々を送っています。
さてぼやいてもいられないので、去年の8月とは少し発想を変えました。今はコロナの第7波が高止まりしたままで、コロナ病床はフル回転、病院職員は陽性者や濃厚接触者で休んでいる人達が多く、一般病床に空床があっても十分に運用出来ない状態が続いています。北九州全体でも、クラスターが出ている病院もあり、複数の病院で救急搬送お断りが出されています。このため急病や熱中症になったり、大けがをしたら大変で、その先は運まかせという恐ろしい状況にあります。実際に北九州から飯塚まで救急搬送された患者さんもいました。そんなこともあり、8月が苦手とか関係なく、今年は大人しく過ごすのが賢明という結論に至りました。
今していることはひたすら「充電」です。9月以降の良い季節に向けて、コロナや呼吸器疾患の勉強、旅行の情報収集、そして貯まっていたカードのポイント等を自分へのプレゼントに換えたりしています。あと半月しのげば、その先は何とかなるでしょう。頑張れnyan先生、頑張れ若松病院!
写真:我が家に備蓄されているKF94マスク
ワクチン接種に思う。
2022年08月07日
去年の8月に暗い内容のブログを書いたように思います。今またコロナ第7波の真っ最中で、文字通り数の暴力によって、これまでで状況は最悪です。病院のスタッフが次々と陽性になったり、濃厚接触者になったりで、慢性的な人手不足に陥っており、毎日が大騒ぎで綱渡りの日々です。
ただ唯一、去年の8月より良い点と言えば、コロナによる肺炎発症はもちろん、重症化する患者さんがほとんどいないことです。去年の夏は本当にドラマチックでした。私が大反対した東京オリンピックのせい(!)で、多くの死者が出るほど陽性者が増えたのですが、少し遅れてすごい勢いでワクチン接種も進み、ワクチン接種率の上昇に伴って、重症化する患者さんが減りました。その時に呼吸器内科のスタッフと「ワクチンの効果はすごいね。」と話していたものです。
今日、たまたまツイッターを見ていたら、札幌の岸田直樹先生が札幌市における第3波以降のコロナ患者の中等症・重症の割合に関する興味深いデータをアップしていました。これによると、やはり去年の夏の第5波(デルタ株)の途中から、中等症・重症の割合が激減しており、私達の印象と一致しています。
当院では8月下旬に一気に職員のワクチン接種を行います。私はといえば、年齢の条件に合致したので(笑)、既に接種を終えてしまいました。 4回目のワクチン接種は最初は医療従事者も含まれていたのに、それが撤回になり、また慌てて政府が接種の方針を打ち出しました。本当に最初に決めた時点で接種していれば、効果が短期間とは言え、発症リスクも少しは抑えられていたと思います。今となっては、早く暑い夏が終わり、コロナも激減して、楽しい秋を迎えるのを待つばかりです。皆さんもしっかりマスクをつけて(鼻だしマスク・鼻だし気味マスク厳禁!)、どうか第7波を乗り越えて下さい。
写真:岸田先生のWebsiteの資料「札幌市市中におけるオミクロンBA.5の現状と備え」より
「血圧手帳」を作ってみました!
2022年07月30日
御存知の方も多いと思いますが、私は毎週水曜の午前は非常勤で宗像市の赤間病院で外来を担当しています。記憶が定かではありませんが、数ヶ月前から高血圧の患者さんに渡す「血圧手帳」がなくなってしまいました。若松病院の外来には、製薬会社が提供して下さる血圧手帳が何種類かあるのに、なぜなくなったのか?外来の看護師さんに聞いてみると、もうそういう物は配らないことになったとの答えでした。いずれは若松病院でもそうなるのでしょうか?
それで赤間病院の外来では、今は過去に使っていた血圧手帳を拡大コピーしてホチキスで留めたものを患者さんに渡していますが、その評判がとても悪いのです。たぶん高齢者が多いのにグラフでしか記入出来ないこと、またいかにも何かのコピーという粗雑な印象を受けるからでしょうか?いつもこれを渡すたびに、患者さんが悲しそうな顔をしたり、受け取りを拒否したりします。それで今週私は外来の主任さんに「こんなのエクセルでちゃちゃっと出来るはずだから、自前で作ってみてはどうですか?1時間もあれば出来ると思うけど。」と言ったところ、「今度提案してみます。」というお返事でした。言ってはみたものの、「エクセルで1時間でちゃちゃっと出来る」のか、ちょっと気になり、日頃のコロナ地獄のストレス解消も兼ねて作ってみました。<先ず隗より始めよ!>
実際はエクセルではなく、パワーポイントのA4を横長にして、そこに表を挿入し、表紙の病院名やロゴはホームページのデザインを参考したところ、約1時間半で完成しました。我ながら良い出来映えだと思ったので、何部か印刷して、来週の水曜日に持っていくことにしました。これだと若松病院でも手帳がなくなった時に、病院名だけちゃちゃっと入れ替えれば、瞬時に作成出来ます。次回の外来では、グラフ式のコピーの血圧手帳を見て悲しい表情をした患者さん達に、笑顔が戻るのを楽しみにしています。
写真1:血圧手帳の表紙
写真2:表の部分は、若松病院で使っている血圧手帳「ノルバスクを服用される患者さんへ」(ヴィアトリス製薬株式会社)を参考に作成。
令和4年度 第1回医療安全職員全体講習会
2022年07月22日
若松病院は今年で開院11年になりますが、今まで技術的な理由で出来なかった表記の講習会を、ついに開催することが出来ました。まず最初に田原副院長から開会の御挨拶があり、これまで本院での講習会の視聴ばかりだったのが、オリジナルで開催出来る日を迎えた喜びを語られました。今日の講習会は2部構成で、前半は医療事故防止、後半が病院感染防止になっています。
第1部では、青木看護副部長から「インシデント・アクシデント・オカレンスレポートのすすめ」という御講演が20分ほどありました。医療事故と医療過誤の総論から、当院で報告に上がっているインシデント・アクシデント・オカレンスの内訳や改善への取り組みが紹介され、報告の重要性を学ぶことが出来ました。
第2部は、私が「今さら聞けない新型コロナウイルス感染症と感染対策」について、40分間講演をしました。本講習会を企画した頃は、コロナ陽性者が少なかったので、タイミングが悪いなと思いましたが、今週は連日記録を更新する陽性者数が出ているので、かなり気合いが入りました。COVID-19の一般的な臨床像から、後半は具体的な感染対策の話をして、特にマスクや換気の重要性を強調しました。
今日は、会場のスペースの関係で各部署から1名ずつ、参加していただきましたが、残る全ての職員は、同じ内容でDVD研修になります。医師やベテラン看護師には、簡単な内容だったかも知れませんが、当院の全職員が知っておくべき基本的な知識を身につけ、情報を共有していただければと思いました。そして今回の講習会を支えて下さった大学の視聴覚担当の職員の方々に、厚く御礼を申し上げます。
写真1:開会の挨拶をする田原副院長(右)と青木看護副部長(左)
写真2:講演をする青木看護副部長
写真3:講演をするnyan先生
写真4:物議をかもしたスライド
「教室便り」を読んで
2022年07月10日
6月18日に、産業医科大学呼吸器内科の同門会があったことを書きました。同門会の時に、いつも教室便りと住所録が配られます。教室便りには、この1年間の人事、業績、医局員の近況報告などが書かれており、いつもなら配られたその日だけ、パラパラとめくって読んで本棚入りしますが、今回はちょっと感動した近況報告がありました。書いた人は産業医大病院の修練指導医の男性医師で、内容は「育児休業を取得しました」というもので、その中の一文が目を引きました。
私も妻も共に産業医科大学病院で社会人大学院生、学生からの付き合いで同期どうし。当然、給与から何からイーブンです。なので、結婚当初から家事はできる方がやるのが当たり前でしたし、そんな2人にとっては、「育休も半分ずつ」という発想は極めて自然でした。
本当に極めて当たり前の内容ですが、実際に実行したことが素晴らしいです。私が医学生だった今から40年以上前に、既に女子学生達はこう考えていたのですが、いざ結婚したり子どもが出来たりすると、家事、育児の量に比例して女性の側にだけ負担が増していきました。私は長らく、日本呼吸器学会の男女共同参画委員をしていますが、議論される内容は、女性医師の仕事と家庭の両立の話ばかりで、近年やっと男性医師の働き方にも言及されるようになりました。この近況報告に書かれていましたが、産業医科大学ですら、男性医師の育児休業取得は今回が第1号だったとのことです。
私は誰もが彼と同じように男性の育児休業をとるべきとは思いません。それぞれの夫婦の考え方があるし、年齢、職種、職位、給与がイーブンとも限りません。もちろん妻が専業主婦の家庭もたくさんあります。ただ女性がキャリアを積んでいく時期に、他の国なら問題なくクリア出来ることでも、日本に生まれたという理由で、女性だけが不利になることは、あってはならないと思います。今回の近況報告を読み、また私の周囲の共働き家庭をみるにつけ、状況は良い方向に向かっているのは間違いありませんが、あまりにも時間がかかり過ぎています。
今日は参議院選挙の日です。日本の投票率の低さ、そして政治に対する無関心は目を覆うばかりです。みんながボーッとしている間に、日本だけが先進国の中で国民所得が低下し、もはや先進国と呼んで良いのかも疑問です。また社会の進歩も前述のように、あまりにも遅いです。少子高齢化が進んでいますが、どんどん保育所と学童保育を充実させ、また教育費の低減や無償化を進めれば、かなりの問題が良い方向に向かうと考えています。そして何よりも1人1人が、これからの日本のあるべき姿を考え、政治についてもっと語り合う機会が増えた方が良いと思います。
追記:以前のブログに、私は「立憲民主党」と書いたかと思いますが、考えるところがあり、今の代表になってから同党を辞めました。現在は野党側の無党派という立場です。